東京タワーの灯を映す、麻布十番の夜気

雨上がりの麻布十番。

ビルの9階に灯る小さな明かりを目指してエレベーターを上がると、

そこに広がるのは、東京タワーの灯を映すガラスの夜。

「THE LIVELY BAR」は、ホテル最上階にある都会のリビングのようなバー。

外国人客やカップルが静かにグラスを傾け、

氷の表面にはロゴが刻まれる。

そんな細部まで行き届いた美学がここにある。

シグネチャーカクテルの一杯が、夜景のリズムを変える。

グラスの中に広がる琥珀の光。

人気の「バナナコーヒー」は、芳醇な果実香が鼻をくすぐり、

ほのかな苦味が夜の余韻をやさしく包む。

カクテルは100種を超え、好みを伝えればバーテンダーが即興で調合。

一杯ごとに違う“物語”がグラスの中に立ちのぼる。

深夜料金の時間帯になっても、その香りの曲線は途切れない。

テラスからは東京タワーが間近に。

窓を開ければ、夜風がゆっくりとカウンターの灯を揺らす。

店内はシックな黒と琥珀色で統一され、

低めの照明に浮かぶグラスの光が静かに脈打つ。

オープンテラスとソファ席がほどよい距離感を生み、

BGMのジャズが“夜の余白”を整えてくれる。

仕事帰り、またはデートの帰り道にふらりと立ち寄れる。

21時を過ぎると、店内は外国人や常連がゆるやかに集い始め、

会話は低く、氷の音がよく響く。

ここには“酔い”よりも“整う”時間がある。

過剰な演出もなく、客層も落ち着いていて、

「静けさに包まれたい夜」にこそ選びたい一軒だ。

週末は21時を過ぎると満席になることも。

予約は早めがおすすめ。

22時以降は深夜料金10％が加算されるため、

時間帯によっては一杯の価値が変わる。

全席禁煙だが、喫煙室が設けられているので安心。

カード決済もスムーズで、ホテル利用客にも人気が高い。

一度訪れると、ふと夜風を感じた時に思い出す。

あのカウンターの灯、氷の音、

そしてほんのり甘いバナナの余韻。

再訪を誘うのは“非日常”ではなく、

“ちょうどいい静けさ”がもたらす心の解像度。

知られたくない名店、という口コミが多いのも頷ける。