日比谷で感じる、パリの余韻が香るブランチ

柔らかな朝の光が窓辺を撫で、

カトラリーの音が心地よく響く。

東京ミッドタウン日比谷の一階にある「Buvette（ブヴェット）」は、

まるでパリの街角に迷い込んだような空気を纏うビストロカフェ。

ニューヨークとパリに続く世界3号店として誕生し、

“日常の中の小さな贅沢”をテーマに、朝から夜まで人々を惹きつけている。

トーストが焼ける香ばしい音、

そこに重なる生ハムの塩気とチーズの香り。

「クロックマダム」は、Buvetteのブランチを象徴する一皿。

ナイフを入れた瞬間、とろりと流れる卵黄がパンに染み込み、

濃厚でありながら軽やかな旨みが口いっぱいに広がる。

添えられた酸味のあるピクルスが、

そのまろやかさを上品に引き締めてくれる。

一度食べたら、きっと他のどこでも満足できなくなるだろう。

高い天井、アンティーク調の家具、

そしてランプのやわらかな灯り。

ここには、時間をゆるやかに進める力がある。

窓の外には日比谷公園の緑、

テラスには外国人客やおしゃれなカップルの姿。

店内では英語が飛び交い、

日本にいながら異国の空気を肌で感じる。

QRコードでのスマートオーダーや、丁寧な接客も心地よく、

“洗練されたカジュアル”という言葉がよく似合う。

休日の朝や昼には行列ができるほどの人気ぶり。

5組ほど並ぶこともあるが、

その待ち時間すら、まるでパリのカフェで席を待つ時間のように愛おしい。

人気の「サーモンリエット」は、

バゲットにたっぷりとサーモンペーストをのせたオープンサンド。

濃厚なのに重くなく、

クリーミーでほどよい塩気がワインとも相性抜群。

軽やかに過ごしたい午後なら、

スイカレモネードやアーノルドパーマーのドリンクで爽やかに締めたい。

夜のブヴェットは、ランプの灯りが少し落ちて、

昼とは違う表情を見せる。

鴨もも肉のコンフィやアッシェパルマンティエなど、

本格的なビストロ料理が静かにテーブルを彩る。

記念日やデートには個室もおすすめ。

程よい距離感と、心のこもった接客が、

一日の締めくくりを特別なものにしてくれる。

気取らないのに美しい。

シンプルなのに忘れられない。

そんな料理と空間の“余韻”が、

Buvetteの最大の魅力だ。

朝でも昼でも夜でも、

ここでは少しだけパリが近づく。

そしてまた、あのクロックマダムを思い出してしまう。